遠雷

地の果てにて

2018/09/03 1日目(後) 一般通過親切軽トラ爺

網走監獄閉館時間ギリギリまでじっくり堪能し、その時刻17時半。
駐車場車内からは淡い橙に染まる空と山のコントラストが見えて、不覚にもうっとりしちゃった。

今思えばこのまま近くの飯屋でも探して早目の夕飯食べて、旅館で休むべきだったのだけど、何を思ったか、当時の私は「この夕日をガイドブックに載ってるような景勝地で見れば最高なのでは?」という考えに……

それだけならまだいい。
網走市内にもそういった所はあるだろうし(※ありました)。

あの時の私は本当に頭がおかしかった。
知床・網走・釧路を扱ったガイドブックをパラパラ眺めて、とあるページが目にとまってしまったのだ。
ああもう、本当に馬鹿!

網走監獄からプユニ岬に向かおうとするだなんて!!

プユニ岬とは、知床・斜里町にある夕日と海と港町が一望できる絶景ポイント。
もう一度言おう。知床だ。
Googleで道程を調べると、1時間半で着くらしい。
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「ほーん、じゃあまだ夕日落ちきらないやろwww」

悲しいかなこの女、そんな時間経てば夕日なんて沈み切ってすぐ暗くなってしまうことを、東京の不夜城に慣れ切ってすっかり頭から抜けているのである。
大体83キロという文字が見えないのだろうか。それとも距離感が頭からすっぱ抜けてるのだろうか。

気づけばカーナビの行き先に「プユニ岬」と設定していたのだった。

網走監獄を出て、しばらく網走湖沿いの道を通り、網走市街を抜けたらオホーツク海沿いの大きな国道へ。
50キロの速度制限標識があったから、それに従った速度を出していたのだけど、周りの車が煩わしそうにガンガン追い抜いていく。
レンタカーの若葉マークなんて距離置きたい気持ちは充分理解できるけど、あっという間に姿が見えなくなってるから、周りが何キロ出してるのか考えるだけで震える。若葉マークだから。
震えてたら後ろからパトカーを観測。若葉の時に警察から点数引かれると下手すりゃ教習所に強制帰還だと、教官から口酸っぱく言われたのでせめて速度制限だけは守って、曲がる時も大袈裟に左右確認するかー!一本道だけど!って気を引き締めてたら、パトカーすら(他の車よりは速度控えめとはいえ)猛スピードで追い抜いて行ったので考えるのをやめた。

オホーツク海沿いの国道から周りが牧場・畑に囲まれた道に出た。
カーナビの目的地までの距離が残り68キロとか表示された頃だったかな。
なんか周りが急に暗くなってきたし、街頭なくて何も見えないし、コンビニどころか民家すら見当たらないし……でも一丁前に交通量はそこそこ……

気付いた。

これもしかして夕日どころじゃないのでは?
仮にプユニ岬にたどり着いた所で何も見えやしないのでは??

暗闇、目印は周りの車のランプと道幅表示のみ。
周りにマジで何も無いし何も見えないので、他のドライバーの皆様には悪いけど道路の端に寄せて路駐させてもらった。
エンジン切ってライトだけ付けると、腹が鳴った。
最後に食った昼飯、11時頃だったから腹も減るか。ツイッターしてる余裕なんて無かったから正確な時間なんて覚えてないけど、だいぶいい時間だった。
目的地までの残り距離65キロ。うん、無理。馬鹿。
取り敢えず網走まで戻らなくては……腹減って何も考えられねぇ。

地図を広げて、網走市外の飲食店を調べてカーナビに打ち込んでると、コンコンと助手席の窓を叩かれた。
地元民風のおじいちゃんだった。

爺「大丈夫かい?初心者マークのレンタカーだし、載ってるのは若い女の人が1人でずっと立ち往生してるから」
わーお。私、若い女らしき見た目だったのか。
ツイッターではおばあちゃんとかBBAって言われること多かったし、親からは大人としての自覚を持てという檄文が送られてきたから、私の中での自分自身にだいぶおばさん補正かかってたよ。
って話の本題そこじゃねぇ。
私「いやぁ、知床まで行こうとしたんですけど暗くなっちゃって、網走から来たんで、まずは市街地まで戻ろうかと」
爺「今から行っても何も見えないよ。それにこんな暗い道を若い女の人1人じゃ危険だ」
ド正論言われてるだけなのに、若い女扱いされたのが久しぶり過ぎて心の涙が止まらなかった。
爺「網走ならこの道Uターンすれば戻れるけど、あんたこの道幅で切り替えせないでしょ?」
見抜かれてるゥ!
私「は、はは……(苦笑)」
爺「Uターンできる曲がり角あるところまで誘導するから、俺の車についてきて」
かたじけねぇ、かたじけねぇ……!

後ろから軽トラが出てきたのを確認して、再度発進。
畑に面した横道まで案内してもらった。
バックの誘導とか、ハンドルの切り替えとか、ライトの付け方とか教えて貰いながら、なんとか元の道の反対車線に出れたのでした。
いや私マジで教習所で何勉強したの?(真顔)

あの時の名も知らぬ軽トラの方、本当にありがとうございました!!!!!


闇道を駆け抜けて、網走市街に到着。ぐったり。
網走市街って言うけど、先程助けられた闇道よりはマシレベルで暗かったゾ……
その様子は西蒲区聖籠町新発田を思わせるもの(新潟県民にしか伝わらないネタ)。

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https://www.google.co.jp/amp/s/s.tabelog.com/hokkaido/A0110/A011001/1006837/top_amp/

網走に来たからには美味しい海産物食べるのがセオリーなのかもしれないけど、とにかく疲れてたからガッツリしたものが食べたかった。

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レディースセットだったか、とにかく何かしらのセット。旅館でもらったチラシ特典を使ってチーズナンにグレードアップ。
チーズナンが売りなだけあって、チーズナンが1番美味しかった。これおかわり自由らしいけど、このボリュームで提供して赤字にならないんですかね?いうて私、これだけで満腹になって入らなかったからおかわりする人少ないのかもだけど。

私の他には、大学生ともなんともつかぬ地元民風の若者男性2人組が来店してた。
結構長い付き合いなのかな?と思わせるような距離感で、楽しそうに、めちゃんこヘビーな家庭事情の話し合いしてた。常連なのか、店員のネパール人達とも「おう、またな!」みたいな感じ。情報量が多すぎる。

会計の時、ネパール人から「ここは初めてですか?」って話しかけられた。
私「はい、網走には観光で初めて来てるのでここも初めてです」
ネパール人「そうなんですか!どこから来たんですか?どれくらいいるんですか?」
私「東京からです、今日含めて4日いる予定です」
ネパール人「そうなんですか、寂しくなりますね……でも、よかったら是非、また来てくださいね!」

私の記憶があやふやなのと、書き起こしが下手くそなせいで伝わらないけど、ここですっげぇネパール人の人柄の良さ感じてじーんと来てしまった……

私「ええ、また網走に来る機会があったら必ずここにも寄ります」
会計を済ませたあとも、玄関を出るまで「またお会いしましょう!ぜひ来てくださいね!」って何度も言ってくれて、今後網走へ行く宛もないのに「必ずまた来ます!」って手を振り返してしまった。

じゃけんこれを読んだみんなも、このカレー屋さん寄りましょうね^~


1日目から早速混沌極まってた。
でも、網走の人達の優しさを感じることが出来てほっこりした日でもあったな。
運転する時出す速度は優しくないけどね。

旅館の温泉に浸かって、21時前には寝落ちしました。

2日目に続く。

2018/09/03 1日目(中)  修学旅行より真面目に修学した話

突然だが、皆さんは「ゴールデンカムイ」という作品をご存知だろうか。
10月8日からアニメ2期が始まってるので、名前だけは聞いた事ある人多いと思う。
Twitterの煽りリプ画像としてよく使われるこの↓1コマの元ネタはゴールデンカムイなんだよね。
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あとはイラストのネタとしてよく見かけるのがこの辺りか。
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ネタにされるだけあって、1コマだけでもう面白いし、実際読むとめちゃくちゃ笑えるシーンなんだよね

んで、これどういう漫画なの?といいますと。
明治後期の開拓されつつある北海道を舞台にアイヌの金塊を巡って、最強の第7師団や網走監獄を脱走した凶悪な囚人達、元新撰組陣営など、ヤベー奴らを相手に日露戦争からの帰還兵・杉元佐一とアイヌの少女・アシリパが手を組み、北の大地を駆け回る……というとっても浪漫溢れるお話。
北海道で繰り広げられる西部劇、これだけでも相当ワクワクするんだけど、煽り画像にもなるような個性の強すぎる魅力的な登場人物や、独特のギャグシーンが絶妙なバランスで、これが面白いのなんのって。
ただこれだけだと、明治北海道という名前だけ借りた異世界ファンタジー架空戦記じゃないの?という疑問を持つ方もおられるだろう。おられるだろう(威圧)
ところがどっこい。ゴールデンカムイのぶっ飛んだ面白さがきちんと地に足が着いたものになっているのは「リアリティ」にあるのだっ!!
作者・野田サトル先生の綿密な時代考証アイヌ文化の文献調査・取材により、当時の生活風俗が細かい部分までしっかり描写されてるんだよね。また、メインとなる登場人物の多くは実在した変人で、そこに気づいた読者はついニマニマしちゃうってわけ。楽しみ方の切り口が非常に幅広い作品、まさに和風闇鍋ウエスタン!


唐突にゴールデンカムイ語りしたけど、なぜかと言うとね、この日に立ち寄った「博物館 網走監獄」が作中でとても重要な場所であるから。
ここに立ち寄った理由がゴールデンカムイかと言われると、全く影響なかった訳では無いけど、精々1割くらい。元々聖地巡礼に興味ある方じゃないし。
でも、実際に足を踏み入れてわかった。野田先生がどれだけ綿密に取材をして、元ネタとなる舞台を尊重しつつ、あんなにぶっ飛んで面白い漫画を描いてるのかが。
脱帽した。舐めてた。今まで「アニメの聖地巡礼?言うてアレ、背景とか地名を借りて実際はてきとーな田舎ならどこでもええやんけ、地方もそれに便乗して聖地巡礼してくれるオタクが金落としてくれれば両者にwin-winだし?」って斜に構えてた。んなもんじゃねぇ。何がなんでも「明治の北海道」が舞台じゃないと描けない全てを描き切ってやろう、そんな気概を強く感じた次第。
お見事ですサトルカムイ、ずっとあなたについていきます……

まぁつまり、ゴールデンカムイ面白いから、月島軍曹の過去編が収録されてる15巻までは騙されたと思って読んでみようね!!
Amazonのリンクも貼っといてやるぜ!


さてね(仕切り直しC)

宿泊地は「ホテル網走湖荘」。地元民からは湖荘って呼ばれてるみたい。その名の通り網走湖のほとりに佇む老舗旅館。
(多分)1番安い部屋に泊まったんで私の部屋からは山と踏切しか見えませんでしたが!w

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飛行機予約前に宿を確保したからチェックイン時刻が読めなくて、結果的に予定より何時間か早く到着。
スーツケースだけでも預かってもらえればな、って思ってたのに、チェックイン手続きしてすぐに部屋に通してもらえたから驚き。ありがとうございますやでほんま。

部屋は洋室で、ベッドが2つありましたとさ。
…………………………^^



地図通り、網走監獄は近くにあった。
網走湖沿いの道は曇り空から差し込む夕焼けを映し始めて、運転せず見る余裕があればさぞ綺麗なんだろうなって思った。

ちなみに近くに網走刑務所もあるけど、これは普通に現在進行形で受刑者がお勤めを果たしてる普通の刑務所。間違ってカーナビに入れて自首ムーブしかけたまずいまz別に何も自首することなんてしてねーよ!!!!!!


網走監獄は、明治時代、北海道開拓を進めるために全国から囚人をかき集めて設置された、北海道開拓史において切っても切り離せない存在。
凶悪な囚人達を効率よく見張り、脱獄させない為のあらゆる工夫が施された独特の監獄が有名。
それでも脱獄した猛者が実在するんだから凄い。
元々の過酷な気候に加え、劣悪な環境下でシベリア抑留レベルの労働させられたから死人が出まくった……
これが私の網走監獄の事前知識。

いざ突撃!
入口近くの掲示板に、早速ゴールデンカムイのキャンペーンポスターがお出迎え。
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スタンプラリーなんてあるんだ。
コンプリートの為には杉元達みたいに北海道を縦横無尽に旅しなきゃならないんすねえ。
馬や徒歩でサバイバルしながらの彼らよりはうんと楽だろうけど。

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右の門番っぽいオッサン、これ作り物なんだよね。
顔のリアルさといい、質感といい、大きさといい、モノホンにしか見えなくて、気づいた時びっくりした。
館内にもこのクオリティの人形がゴロゴロいるから、暗い独房に囚人人形がいた時は軽く悲鳴出たよね。

中に入って早速目に入ったのが土産物コーナー。
ゴールデンカムイ要素でいっぱいw

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杉元とアシリパさんのパネル、サトルカムイの白石色紙、網走監獄仕様のポスター……
コラボ土産まであるとは思わなんだ。食べていいオソマ地味にツボなので買いました。アシリパさんのオソマ顔芸好きすぎる

いやまーね?ゴールデンカムイ好きだからいいんですけどね?
自衛隊が美少女に銃持たせた萌え絵に媚びてるのとか、少しぱっとしないけどいい所って感じの観光地がヲタク=ポスターまみれになってるのを見ると、メリットは充分理解してても萎えるタイプのオタクなんですよ。(唐突な自己紹介)
私の地元とか、赤塚不二夫が育った土地ってだけでまだおそ松さんバスが走ってて泣けますよ。おそ松さん1期滅茶苦茶面白くて好きだし円盤まだ持ってるけどさ。赤塚不二夫あんなに新潟disってたのに、それでも縋るって恥ずかしくないの?(唐突な地元dis)

やっぱり歴史的に重要な場所として知名度が高くても、所詮は辺鄙な地の果てにある田舎。
観光での収入の割合も馬鹿にならないだろうし、オタクに媚びていかないとやっていけないんすねぇ~~(でかい態度)

すいませんでした(土下座)

土産物コーナーと同じ空間にあった、網走監獄の歴史をまとめてある碑文に目を通してびっくりしたよね。
犬童典獄って実在の人物だったんかい!名前とキャラデザ遊びすぎじゃね?とか思ってたけどそっくりやんけ!!でも写真は漫画より明るい雰囲気だ!!
白石のモデルの白鳥由栄は偶然知ってたけど、もしかしてあの漫画、私の想像以上に綿密な取材により構成されてるのでは……?
そんな畏怖が芽生え始める中、博物館内の説明を食い入るように読みながら、歩き回ったのでした。

舐めてた。すっげぇ歴史の勉強になった。初めて知ることばかりだった。
新しい分野の歴史に触れて心が震えたのは、中二の時にヘタリア経由で第二次世界大戦の欧州の複雑な戦線沼に落ちた時と、高校生の時にあの最強米軍に敗北を味わせたベトナム戦争がきっかけでアジア近代史沼に落ちた時以来だ。我ながら典型的か


網走監獄は、実際に使われていた監獄を補強しつつ、限りなく当時のまま博物館として公開されている。
前述の通り、この監獄は蝦夷地開拓を目的に全国から囚人を集めて設置したいくつかの監獄のうちの1つで、その中でもかなり大規模なものだった。
その囚人の数、当時の網走の住民約600人に対して、約1200人。
住民の2倍もの数を収容するにあたって、効率的に監視可能かつ脱獄困難な工夫が施された。
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囚人と看守達は、北海道方々を繋ぐ幹線道路の開拓や、農地開墾に尽力した。

現地に赴けば分かるのだが、特にここ、網走や後に行くことになる知床は、間違いなく田舎なのだが「ただ開発が進んでいないだけ」の一般的な田舎というよりは、「自然があまりにも驚異的な規模なので、人間側が妥協して住める場所に住み、道路を作れる所に道路を通し、野生動物とは距離を保ちつつ共存している」という印象を強く受ける土地だ。
蝦夷地が日本に併合されてから150年近く経っているのにこの程度の(失礼)開発レベルだということと、知床・網走共に世界的に保護区指定されている事を踏まえると、あながちその認識は間違っていないんじゃないかと思う。

ましてや150年前なんて、重機どころか農具装備も今よりパッとしない……パッとしないわ(展示品を見ながら)
例のオレンジの囚人服1枚で、今よりも自然の脅威があって、ヒグマやエゾシカが平気で出てくるような所を開拓する……
考えただけでゾッとする。

実際、幹線道路の開拓にあたって、約5メートルに1人の割合で囚人と看守が命を落としていたらしい。そりゃそうだ。作業は囚人にやらせるにしても、見張ってる看守だって無事じゃいられない。
死因としては収容環境の厳しさ・劣悪さも影響しているが、大半は開拓にあたり、自然に負けたパターンだ。
彼らが開拓した道は、今でも北海道各地を繋ぐ大事な道路となっている。
この先私が旅をするにあたって、囚人達が命をかけた道を走り回ることになる。翌日以降、私は彼らの仕事の偉大さを嫌という程感じることになるのだった。

館内で当時の開拓の様子を再現した映像が見れた。
吹雪の中、暗くなる山中で、死にそうな囚人に看守が「網走に帰るんだろ!死んじゃダメだ!」と必死に声をかけるも、最後には看守も命を落としてしまう。
そこにはドラマでよく見る高圧的な看守とそれに反発するような囚人の姿はなく、まるで運命を共にした同僚のようだった……


また、同時に農地開墾も進み、採れた作物は地元の一般人に販売していた。流石に農家には気遣って、少し離れたところで売ってたみたいだけど。
主婦の皆様からは安くて美味しいと評判だったそう。

……なんというか、網走監獄やここに収容された囚人の印象が変わるよね。
確かに網走監獄は過酷で、1度収容されたら死刑執行前に死ぬのを覚悟しなきゃ行けないところだと思う。環境は悪いし、お勤めは過酷。
そもそも収容されてる地点で、今とは法的な基準が違うにしても、全員ろくなことしてないんだよね。
でも、その代償の社会貢献活動ならば、これは社会的どころか歴史的貢献を果たしてるわけで。
経緯はなんにせよ、彼らが命を投げ捨ててくれなければ、北海道の発展はなかったし、私がこうやって東京からはるばる赴くこともできなかった。
なんて偉大なる名もなき囚人と看守達。
いや、北海道というところは、囚人達以外にも、きっとこういう名もなき人々の命で出来ているんだなぁと、そう思うと胸が熱くなって涙が出るよね

それにさ、少しずれるけど、アイヌの人達って、囚人が何人も死んだような過酷な土地を狩猟や知恵で生き延びてきたんでしょ?
政治的目的があったにしても、とても土人と言って馬鹿にできるような人達じゃないと思うのだが・・・
タフで賢くないと生き延びていけないはずだもの・・・
アイヌってすげえなぁって震えてた。

ありがとう網走監獄!!北海道、バッチリ堪能してやるぜ!!
そして、サトルカムイに敬意を!!網走監獄サイドがこんなにゴールデンカムイだらけな理由がよく分かったぜ!!これだけきちんとリスペクトして漫画に反映されてれば、そりゃ感謝の祭り上げしたくなるわ!!

帰りに食べていいオソマの他に網走監獄限定激辛カレー買って帰った。
食べていいオソマ……つまり山椒味噌なんだけど、一人暮らしじゃ微妙に持て余すかもだし、野菜スティックに味噌つけて食べるのが大好きな妹に郵送で送り付けました。
ここ網走監獄の他には女満別空港でしか見かけなかったので、興味ある人は見かけたら即買うのがおすすめです。


前の記事で(後)に続くって言ったけど、これ(中)じゃん?
1日目もう少し続くんだ。すまんなー。よかったら、次もよろしくね。

2018/09/03 1日目(前) welcome to ようこそ 和製シベリアパーク

北海道旅行初日の話。初日なんで移動メイン。余裕なくて写真少なめ。許して

 

夏休みが始まるのとほぼ同時にバイトを辞めて、ニート生活が1ヶ月続いてたのもあって、生活習慣は昼夜逆転気味。

それに加えて、年甲斐もなく「遠足前日にワクワクして眠れない子供」の心境に至ってしまい、結局1、2時間寝たか寝ないかくらいで当日朝を迎えたのでした。

 

この日の私、1人で飛行機に乗るのは初めてだから早めに空港に向かって、多少搭乗手続きに手間取ってもいいように行動するのは分かる。

でも、12時30分羽田空港発の飛行機に乗る為に、朝の通勤ラッシュの満員電車に乗るのは我ながら逸る気持ちを抑えられなさ過ぎだろうと思う。

スーツやオフィスの服に身を包んだ完全社畜モードの皆様がギュウギュウに詰められて輸送される中、浮かれた私服姿にガイドブックが入った鞄を持ち、大きめのスーツケースで約2人分の面積を占領する・・・分かる?この罪の重さ

きっとこの先、大学生だけが長期休みって時期に旅行をするなら、この罪悪感の洗礼は避けて通れないのだろうなぁ・・・

 

当時のツイッターのログを見ると、9時47分には搭乗手続き終わってるから、時間に余裕がありすぎたね・・・。

だって、飛行機予約した旅行代理店で貰った控えのQRコードを翳すだけで搭乗手続き終わるとは思わないじゃん。荷物預け入れもあんなに簡単に終わると思わないじゃん。

それ以前に、まさか私が道に迷わずまっすぐ所定の場所に行けるとは思わないじゃん!!!!

遅れて飛行機乗れなかった、よりはうんといいけど。

 

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天気はあまりよろしくなかった。曇天。

 

空港内の蕎麦屋で昼食を済ませたらおなかいっぱいになったのと、元々の寝不足気味もあって、飛行機に乗った後の事は、離陸の時に付いてない陰茎がふわっと浮く感覚がしたことしか覚えてない。ちんちんふわふわ。

「お客様、そろそろ着陸ですので座席の方を・・・」と、CAから言われるまで爆睡していたのだ!ウッソだろ。

 

目下の地上は、地平線の向こうまで広がる牧場か畑らしき平らな緑と、シチューのCMに出てきそうな赤ペンキの小屋。

ああ、これは本当に何もない、私の求めた限界北の大地ーーー・・・!

 

(なお、すぐに「この程度」で限界大自然だと思い込んだ自分の認識の甘さを思い知らされることになる模様)

 

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14時10分、数分遅れた気もするけど、何事もなく女満別空港到着。

搭乗口やら何やらの空港としての最低限の機能の他には、セブンイレブンと、レンタカー数社の窓口と、2階に若干の土産物屋があるだけの、THE・田舎の空港。

思ったより寒くて、半袖でも充分過ごせるものの、薄手の長袖が丁度良いと感じたな。

 

旅行代理店で飛行機のついでに予約したレンタカー屋で所定の手続き。保険関係は全部加入。当たり前だよなぁ?(震え声)野生動物に衝突した時の保障の説明まであったのは流石北海道って感じした。

 

ギリギリ初心者マークのやべーやつに与えられたのは、黒塗りのフィットくん。今回の旅行での、私の相棒であり、1番の被害者(被害車?)。

実はこの旅行の数週間前に、実家の新潟に戻って母の車で運転の練習したんだけど、その母の車がフィットなんだよね。車種指定してないから偶然とはいえ、運転経験値が教習所とこの実家帰省の時しかない私にとってはありがたいことこの上なし!

 

それでも不安は不安。レンタカー屋の人にエンジンの位置とかカーナビの機能とか、元々ついてる傷とかの諸々の説明を受けたあと、

店員さん「他に気になるところはありますか?」

私「こっち(左)がアクセルでこっち(右)がブレーキですよね?ここ踏むと止まるんですよね?」

店員さん「・・・はい、そうですよ」

 

・・・レンタカー屋さん、すいませんでした。

ネタバレになるけど、最終日にも多大なる迷惑をかけることになります。

それ含めて、すいませんでした(全裸土下座)

 

かくして、初心者ガイジドライバーが北の大地に放たれてしまったのであったーー・・・・・・

 

教習所じゃ、何かあれば教官が強制的にブレーキかけてくれるし、実家帰った時も母が隣でいい具合に口出ししてくれた。

正真正銘、初めての一人での運転だ。

 

レンタカー屋を出て、しばらく道なりに走らせた。

初めての土地。凄い!日本でもこんな見事な地平線が見られるだなんて!同じ北海道でも札幌とはえらい違いだ・・・。にしても涼しいなぁ。

初めてのソロ運転。なるほど、完全に無音キメることになるのか・・・。車通勤の両親が昔は収納スペースいっぱいにCDを、今はiPodを持ち込んで接続したり、ラジオを聴いてる理由がよーく分かったぜ・・・。

うん、うん、一度に情報がいっぱい入ってきて、脳内処理しきれん!っていうか宿どこだよ!走行中にカーナビいじるのは危険だよ!

どっか適当に停車しようと思ったのにマジで何もないじゃねーか!道だけは幅広めで立派なもんだけど!埼玉の道とは全然違うなハッハッハ!!

あ!あの赤い看板コンビニかな?ん?材木屋?もーー知らねーーーー!!止めさせてもらうぞウィンカーカンカンカーーーーーン!!!!!!!!!!!

(後日調べたところ、ホーマックニコットさんというホームセンターらしいです。)

 

駐車。脱力。

教習所で問題無く出来てた駐車も、上手に白線の通り出来なくてかなり切り返した。

自分以外に駐車してた車が思い出せないほど空いてたからまだ良かったけど、この先混雑してる駐車場に行くことがあれば・・・と考えると早速先行きが不安に・・・

 

百均で買ったマグネット若葉マークをフィットくんの前後に貼り付けて、カーナビに宿泊する旅館の名前を入れる。私が知ってるカーナビは現在位置と表示位置が1キロ離れてることがままあるポンコツなのだけど、最近のカーナビは道を間違えたら即座に新しい道のりを示してくれるほど高性能でびっくり。

スマホのニコボックスにプレイリストを作り、適当に思いついたボカロ曲をいくつか突っ込む。どんな形態でもいいから、再生マイリストは事前に作っておくべきだった。

 

大丈夫。運転経験値はこの旅行で積み上げてやる。辺り一面の牧場や大自然、私のソロ運転童貞卒業にふさわしい舞台じゃないか。

プレイリストは旅館に戻って寝る前に作っておこう。

カーナビくんは高性能だし、きっとどこにでも行けるさ。

 

まずは旅館の位置を確認がてらスーツケースを預けて貰って、網走監獄に行こう!

旅館から車で6分って、グーグルも言ってた気がするし。

 

空港で買ったブラック珈琲をぐいっと飲んで、プレイリストの再生ボタンを押して、慎重に車を出す。

まだまだ旅行は始まってすらいないのだ!!

見てろよ北海道、蹂躙しきってやる!

 

「あーーーここ50キロ・・・50キロの標識だよね?アレ・・・。私50キロ出してる・・・え?なんでそんな超スピードで追い越してくの・・・怖くないの・・・?なんか取り締まり路線って書いてあるけど・・・あれ?私の後ろ全部追い越してった・・・うわ、道すげえ広い・・・ガイドブックで見かけた感動の径・・・とは違うよね?凄い、こんな規模の道路が沢山あるんだ・・・」

BGM、フラジール

 

かくして北海道旅行は始まったのであった。 1日目(中)に続く。

 

このブログの前置きのようなオープニングのような何か

 

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流行りには乗っかるスタイル。今更だけどこういうのって著作権とか大丈夫なの・・・?

 

 

皆様いかがお過ごしでしょうか。

この文章を書いている今現在、10月です。

これ以上間があくと、いくら楽しい思い出でも忘れてしまうので、慌てて慣れぬブログ執筆に着手しております。

 

このブログは、私が大学2年の夏休みに例の布教ピエロに手を引かれるまま(大嘘)東北海道地域に一人旅をし、その時のツイートをブログ記事という形で再編・呟きそびれた細かい部分の追記をした状態で残すといったものです。

 

だってツイッター、モーメントはツイ廃には優しくない量しかまとめられないし、ガバガバ基準で簡単に凍結されるって聞くじゃない……?

まぁブログもブログで、最近だとヘタリアの原典とも言えるキタユメ。の運営元が閉鎖するんだかなんだかで騒動になってたから、ネットの海に残す選択をとる以上避けられない問題ではあるけどね

 

なので、完全に自分で読み返す用でしか書かないし、せいぜい元々私とある程度交流のある人しか読んでて楽しいと思えるものではない、かなり癖の強いブログになるのかなーと思います。

もしも北海道旅行を検討してて検索でひっかかったり、もしくは気まぐれでこの記事にたどり着いた人はその辺御容赦を。

 

その北海道旅行ですが、網走を拠点に知床や屈斜路湖摩周湖周辺まで行きました。

予約が必要な知床小型船クルージング以外は思いつきで予定を決めてレンタカーを走らせる旅。

 

正直、自分で行先も宿も決めておいて、それ以外は全くぴんときてなかったのです。

上京2年目、多少耐性はついたとはいえ、池袋の人混みと排気ガスの匂いと夏の猛暑はまだ慣れない。東京に住めば同人誌即売会もコラボカフェも行き放題だ!とか思ってたのに、もうそこまでディープなオタクではなくなってるし。ドンマイ過去の自分。

とにかく田舎に、特に自然が強く残ってるところに行きたいって思ったのです。夏に行くなら涼しい北へ。まだ若くて体力もあるのだから、多少ワイルドさが強いところでもいいかな?

道東を選んだ理由なんてそんなもんです。だから、目的地も何もざっくりとしか決めてなかったし、なんなら知床岬先端まで道の表記が地図にないのはそれほど大きな道がないからなのかなーとか思ってたレベルでw

 

そんな感じで考え無しに単身、北の大地へ旅立ったわけですが、こうしてブログを書き残したくなるくらいには素晴らしいものが待ってました。

こういう言い方すると変な啓発本みたいで途端に胡散臭くなるから嫌なんですが、人生変わりました。

いやまぁ、別に実際は、大学の成績は変わらず落単しなければいいやレベルのものだし、彼氏が100人出来た訳でもないし、不器用で頭が固い根暗な性格が治ったわけじゃないし、ネット依存症のクソ=ヲタクなわけですが、

自分はこのままで生きてていいのかもとか、意外と自分が出来ることは多かったし、何処へでも行けるし、予定外の困難は楽しいって思えるようになったんですよ。

こんなに綺麗なものがこの世にあるなら、また頑張って働いて、大学も憂いが残らぬくらいには真面目に通って、何度でも訪れてみようと。私は私のまま、生きてみるのも悪くないって考えが、まさか生きてるうちに出てくるとは思いませんでした。

 

いやだってね?あれだけ頑張ってたソシャゲも、気を揉んでたサークルの人間関係も、見てて刺激を受けてたツイッターのゲームの呟きも全て霞んで見えるんですよ。見下してるとかじゃないし、旅行から戻った今は全然普通のソシャゲガイジ化してるんで説得力皆無なんですけど。

 

とにかく素晴らしいです。道東。

前述の通り、私自身と、ネットの変わり者の身内達と、あとはたった1人の為に書いていきます、北海道一人旅6泊7日記録。

これ読んでわんちゃん北海道行きたい……!って思う人がいてくれたら嬉しいし、思わなくても行こう(過激派)、北海道行って金落とすんだよオルァン!?

 

ところで、このブログのタイトルは「遠雷」ですが、これは旅行中のとあるエピソードにちなんでつけました。

これも追々書いていこうと思います!

 

察しのいいオタクなら分かりそう