遠雷

地の果てにて

2018/09/03 1日目(後) 一般通過親切軽トラ爺

網走監獄閉館時間ギリギリまでじっくり堪能し、その時刻17時半。
駐車場車内からは淡い橙に染まる空と山のコントラストが見えて、不覚にもうっとりしちゃった。

今思えばこのまま近くの飯屋でも探して早目の夕飯食べて、旅館で休むべきだったのだけど、何を思ったか、当時の私は「この夕日をガイドブックに載ってるような景勝地で見れば最高なのでは?」という考えに……

それだけならまだいい。
網走市内にもそういった所はあるだろうし(※ありました)。

あの時の私は本当に頭がおかしかった。
知床・網走・釧路を扱ったガイドブックをパラパラ眺めて、とあるページが目にとまってしまったのだ。
ああもう、本当に馬鹿!

網走監獄からプユニ岬に向かおうとするだなんて!!

プユニ岬とは、知床・斜里町にある夕日と海と港町が一望できる絶景ポイント。
もう一度言おう。知床だ。
Googleで道程を調べると、1時間半で着くらしい。
f:id:sayotabi:20181013213753j:plain
「ほーん、じゃあまだ夕日落ちきらないやろwww」

悲しいかなこの女、そんな時間経てば夕日なんて沈み切ってすぐ暗くなってしまうことを、東京の不夜城に慣れ切ってすっかり頭から抜けているのである。
大体83キロという文字が見えないのだろうか。それとも距離感が頭からすっぱ抜けてるのだろうか。

気づけばカーナビの行き先に「プユニ岬」と設定していたのだった。

網走監獄を出て、しばらく網走湖沿いの道を通り、網走市街を抜けたらオホーツク海沿いの大きな国道へ。
50キロの速度制限標識があったから、それに従った速度を出していたのだけど、周りの車が煩わしそうにガンガン追い抜いていく。
レンタカーの若葉マークなんて距離置きたい気持ちは充分理解できるけど、あっという間に姿が見えなくなってるから、周りが何キロ出してるのか考えるだけで震える。若葉マークだから。
震えてたら後ろからパトカーを観測。若葉の時に警察から点数引かれると下手すりゃ教習所に強制帰還だと、教官から口酸っぱく言われたのでせめて速度制限だけは守って、曲がる時も大袈裟に左右確認するかー!一本道だけど!って気を引き締めてたら、パトカーすら(他の車よりは速度控えめとはいえ)猛スピードで追い抜いて行ったので考えるのをやめた。

オホーツク海沿いの国道から周りが牧場・畑に囲まれた道に出た。
カーナビの目的地までの距離が残り68キロとか表示された頃だったかな。
なんか周りが急に暗くなってきたし、街頭なくて何も見えないし、コンビニどころか民家すら見当たらないし……でも一丁前に交通量はそこそこ……

気付いた。

これもしかして夕日どころじゃないのでは?
仮にプユニ岬にたどり着いた所で何も見えやしないのでは??

暗闇、目印は周りの車のランプと道幅表示のみ。
周りにマジで何も無いし何も見えないので、他のドライバーの皆様には悪いけど道路の端に寄せて路駐させてもらった。
エンジン切ってライトだけ付けると、腹が鳴った。
最後に食った昼飯、11時頃だったから腹も減るか。ツイッターしてる余裕なんて無かったから正確な時間なんて覚えてないけど、だいぶいい時間だった。
目的地までの残り距離65キロ。うん、無理。馬鹿。
取り敢えず網走まで戻らなくては……腹減って何も考えられねぇ。

地図を広げて、網走市外の飲食店を調べてカーナビに打ち込んでると、コンコンと助手席の窓を叩かれた。
地元民風のおじいちゃんだった。

爺「大丈夫かい?初心者マークのレンタカーだし、載ってるのは若い女の人が1人でずっと立ち往生してるから」
わーお。私、若い女らしき見た目だったのか。
ツイッターではおばあちゃんとかBBAって言われること多かったし、親からは大人としての自覚を持てという檄文が送られてきたから、私の中での自分自身にだいぶおばさん補正かかってたよ。
って話の本題そこじゃねぇ。
私「いやぁ、知床まで行こうとしたんですけど暗くなっちゃって、網走から来たんで、まずは市街地まで戻ろうかと」
爺「今から行っても何も見えないよ。それにこんな暗い道を若い女の人1人じゃ危険だ」
ド正論言われてるだけなのに、若い女扱いされたのが久しぶり過ぎて心の涙が止まらなかった。
爺「網走ならこの道Uターンすれば戻れるけど、あんたこの道幅で切り替えせないでしょ?」
見抜かれてるゥ!
私「は、はは……(苦笑)」
爺「Uターンできる曲がり角あるところまで誘導するから、俺の車についてきて」
かたじけねぇ、かたじけねぇ……!

後ろから軽トラが出てきたのを確認して、再度発進。
畑に面した横道まで案内してもらった。
バックの誘導とか、ハンドルの切り替えとか、ライトの付け方とか教えて貰いながら、なんとか元の道の反対車線に出れたのでした。
いや私マジで教習所で何勉強したの?(真顔)

あの時の名も知らぬ軽トラの方、本当にありがとうございました!!!!!


闇道を駆け抜けて、網走市街に到着。ぐったり。
網走市街って言うけど、先程助けられた闇道よりはマシレベルで暗かったゾ……
その様子は西蒲区聖籠町新発田を思わせるもの(新潟県民にしか伝わらないネタ)。

f:id:sayotabi:20181013222842j:plain
https://www.google.co.jp/amp/s/s.tabelog.com/hokkaido/A0110/A011001/1006837/top_amp/

網走に来たからには美味しい海産物食べるのがセオリーなのかもしれないけど、とにかく疲れてたからガッツリしたものが食べたかった。

f:id:sayotabi:20181013223212j:plain
レディースセットだったか、とにかく何かしらのセット。旅館でもらったチラシ特典を使ってチーズナンにグレードアップ。
チーズナンが売りなだけあって、チーズナンが1番美味しかった。これおかわり自由らしいけど、このボリュームで提供して赤字にならないんですかね?いうて私、これだけで満腹になって入らなかったからおかわりする人少ないのかもだけど。

私の他には、大学生ともなんともつかぬ地元民風の若者男性2人組が来店してた。
結構長い付き合いなのかな?と思わせるような距離感で、楽しそうに、めちゃんこヘビーな家庭事情の話し合いしてた。常連なのか、店員のネパール人達とも「おう、またな!」みたいな感じ。情報量が多すぎる。

会計の時、ネパール人から「ここは初めてですか?」って話しかけられた。
私「はい、網走には観光で初めて来てるのでここも初めてです」
ネパール人「そうなんですか!どこから来たんですか?どれくらいいるんですか?」
私「東京からです、今日含めて4日いる予定です」
ネパール人「そうなんですか、寂しくなりますね……でも、よかったら是非、また来てくださいね!」

私の記憶があやふやなのと、書き起こしが下手くそなせいで伝わらないけど、ここですっげぇネパール人の人柄の良さ感じてじーんと来てしまった……

私「ええ、また網走に来る機会があったら必ずここにも寄ります」
会計を済ませたあとも、玄関を出るまで「またお会いしましょう!ぜひ来てくださいね!」って何度も言ってくれて、今後網走へ行く宛もないのに「必ずまた来ます!」って手を振り返してしまった。

じゃけんこれを読んだみんなも、このカレー屋さん寄りましょうね^~


1日目から早速混沌極まってた。
でも、網走の人達の優しさを感じることが出来てほっこりした日でもあったな。
運転する時出す速度は優しくないけどね。

旅館の温泉に浸かって、21時前には寝落ちしました。

2日目に続く。